豪傑No.1語録(2003・平成15年度)


●豪傑No.1(915) 題名:「東京魔界案内」を読む 投稿日 : 2003年4月26日(土)18時21分
 みなさん、こんばんは、私が豪傑です。
 今年のGWはイラク戦争(戦後処理はアメリカ主導か国連主導か、といった話題になっているようですね。ところで北朝鮮も核兵器保有を国際社会で明言したようで、、、)や中国の悪性肺炎流行が原因となって海外旅行組が激減しているようですね。国内にどこやら面白いところは無いものかしらと言う事で、三善里沙子女史待望の新刊「東京魔界案内」をご紹介申し上げます。
まずは以前より色男が度々話題にしている同氏の「中央線の呪い」の論旨をイントロダクションとして復習しておきましょう。東京には大まかに見て二つの文化圏があり、マガジンハウス&電通系業界人からは蔑みにも似た視線にさらされ、松濤や田園調布、成城学園のリッチ感とは程遠い清貧という平成キリシタンの踏絵ともなる現代のジュラシックパーク(そこでは時間が1970年代で止まっている)、それこそが呪われた文化圏としての中央沿線と言う事です。厳密には中野以西三鷹以東、肉体よりも頭脳、文化をステイタスとする採取民族のエコロジーオタクタウンで、山手線青山渋谷赤坂自由が丘の電通町人文化圏を近親憎悪的に敵視していて、反骨精神、リッチや上昇志向を快しとしない金銭哲学に特徴があるらしいんですね。
そもそも、その歴史を紐解くと関東大震災後、焼出された地方出身者のサラリーマンや貧乏文士が移住した事から発祥し、そこには井伏鱒二を中心とし、昭和4年〜47年頃に自然消滅するまであったという阿佐ヶ谷会が、ある種の甘えやウェットさを醸し出す私小説な感じを形成し、その流れから阿佐ヶ谷会亡き後も70年代のヒッピーフーテン文化、現代の「ガロ」系漫画家からジブリ美術館に連なる文化、不思議、不幸の呪いを生み出している、といったような事情があるようです。三善氏はその分析だけに留まらず、呪いを解く方法まで予告してくれているのですが、井伏にはじまり井伏に終る、関西弁でしかられる時に愛によって、魔法は終るという事です。
 さて、中央線自慢の文化も関西を仮想敵にすると、地霊もないもない、表層的欧米の猿真似文化しかない、みたいな事を唱える学者があって、三善氏は憤然、二つの文化圏いがみ合う事なく、風水術によるところの富士から皇居に至る二つの竜脈パワーにタッグを組ませて、関西連合軍とのバトルに備える、というのが長い前振りになります。

●豪傑No.1 題名:ご無沙汰しています 投稿日 : 2003年6月23日(月)01時21分
 こんばんは、みなさん、私が豪傑です。
 本当にここに書き込むのは久しぶりの事で、それまでの間、私の生死さえ定かでない状態が続いていた訳です。よくタレント作家や教授がテレビに出なくなると、どうしているのか、人気がなくなったのか、暇してるんじゃないか、と考える人がいるようなんだけど、それは本業に帰ったまでの事で、それこそ「小説家の休暇」が終ったというだけの事なんですよね。ネット上の存在もややもすれば虚構化するというか、本人を置き去りに勝手にイメージが一人歩きする事がままあるんです。
なんだか懐かしいまでに古い当HPを立ち上げた頃の古地図のトップページが復活してるし、世間でも復活ブームはお金になるみたいで、ピンクレディーやSPEED、フォーリーブスにツイストまで全国ツアーするみたいだね。
本当に長らく書かなかったので、もう私の存在自体が忘れられてしまっているかもしれませんが、幽霊でなくて、ピンシャン生きてます、サリンジャーやピンチョンじゃあるまいし、隠遁生活気取っている訳じゃありませんよ。3月にイラク戦争があって、3週間くらいで首都陥落しちゃって戦後処理も国連ならに英米主導でやってるらしく、あるいはアルカイーダ日本潜入失敗とかフセイン父子生存確認とか、その後も情報ちょちょろ出てきていますね、その戦争の最中に、もうネタが古くなってしまったけども、宮崎駿の「千と千尋の神隠し」が米アカデミー賞の長編アニメ賞を受賞しました。これはどうも昨年新設された賞みたいですが、名誉賞など除いて作品関連部門としては日本人初の快挙だったという事です。それで最近になって宮崎監督がCM製作デビューする事が報じられ、昭和30年代の庶民の暮らしぶりがアニメになるという事でした。横浜ラーメン博物館や今年オープンしたお台場1丁目商店街など、昭和30年代をコンセプトにした町並み再現も流行していて、先の復活ブームではありませんが、昭和も遠くになりにけり、ですね。
その宮崎監督は手塚治虫が嫌いみたいで、彼がアニメでやった事は全部間違いでした、とまで言いきっています。その発言がいかにも嬉しいのか吉本ばななはNHKTVでビデオレター送ったり、監督とやたらに接近、意気投合しちゃてる。というのも、ばななも手塚が嫌いなんじゃないかという節がある訳で、かつて手塚は「MW」という70年代の作品でどう見ても吉本隆明がモデルと思われるキャラを登場させ、しかもいかにも無責任で傍観者的に批判的に描きこんでいるんですね。漫画好きでしられるばななは日頃より、藤子不二夫好きを公言し、どう考えても「ブラックジャック」の延長上には藤子作品は現われ様がないと、語っていたように思います。

●豪傑No.1(258) 題名:梅雨明け真夏の夜の夢 2003年7月27日(日)19時25分
 こんばんは、みなさん、私が豪傑です。
 映画の国新掲示板がまだ見つかっていないようなので、ここしばらくの雑感をジャンルに捕われずに書き出しておこうと思います。
 まず、ウダイ、クサイのフセイン兄弟の死亡が確認されたイラクでは戦後と言えども非戦闘地域がどこだか小泉首相も明確に分からないテロが日々横行し、米兵が毎日のように殺されている現地に自衛隊を派遣するに際しての、法的裏付けを与えるべく、26日未明の参院本会議でイラク復興支援特別措置法が成立しました。医療行為、人道復興支援、米英軍の後方支援に従事するため、政府が現地に調査団を送り、非戦闘地域への派遣を遂行するとの事です。同26日、気象庁は平年より7日遅れの梅雨明け宣言を、九州北部から東海にかけて発表し、その前日、阪神タイガースがセリーグ史上最速でマジックを点灯させた大阪では、日本三大祭りの一つ、天神祭の本宮において、奉納花火3000発で夜空を焦がしました。また今年で7回目を迎える、真夏の音楽の祭典「FUJI ROCK FESTIVAL'03」が、新潟・苗場スキー場で開幕しましたが、これはそもそも、1997年に富士天神山スキー場で産声をあげたもので、6年で国内外を問わず約40万人が殺到、環境設備や収容人数の問題などから苗場に移り、その後は、日本だけでなく、世界有数の野外音楽の祭典と認知されるようになった、言ってみれば極めつけです。3日間におよぶ出演者を少しだけ紹介しておくと、1日目 アンダー・ワールド、UA、ザ・ミュージック、シュガー・レイ、スチャダラパー、ミッシェル・ガン・エレファント、メイシー・グレイら。 2日目 イギー・ポップ、シーナ&ザ・ロケッツ、電撃ネットワーク、ビョーク、プライマル・スクリーム、山崎まさよしら。 3日目 ヴィンセント・ギャロ、EGO―WRAPPIN'、エルビス・コステロ、つじあやのら。という具合にビッグネームが目白押しですね。
その天神祭の宴のあと、即ち26日午後7時より、色男は大阪城ホールにてユーミンスペシャル、シャングリラU、氷の惑星を見物したようです。そう言えば、テレビでは「やさしさに包まれたなら」が主題歌でおなじみの「魔女の宅急便]」をやってましたね。この超豪華絢爛エンターテイメントショーについては、後日、色男が新コンテンツとしてアップさせる予定になっているらしいので乞うご期待下さい。
 なんでも「マトリックス」、「シャングリラT」、そしてパラダイスのどれもが1999年に公開され、奇しくもその続編が共通して、今年公開という共時性を示して、その物語の補完性を露わにしています。パラダイスにしても、今年はビッグプログラムを計画していますからね。 

●豪傑No.1(259) 題名:マトリックスVSターミネーター 2003年8月7日(木)00時31分
 こんばんは、みなさん、私が豪傑です。
 それまでのヒーローアクションの映画史を切断するダイナマイトのような「マトリックス」は最新のVFXとカンフーアクションで、シュワルツネッガーに引導を渡し、虚構世界=ハリウッドから現実世界の州知事選に追いたてるような事件性を帯びた作品でした。肉体酷使であるとかスタント、さらには生身の俳優さえ無用とするようなCGが、もはやいかなる映像をも可能とし、映画は完全なる演劇からの独立を果たしたとも言えるでしょう。それは、かつてサイレントからトーキーへの技術革新が、活動弁士を廃業へと至らしめた事に匹敵する事件であるのかもしれません。
例えば先行する近未来SFの名作「ターミネーター」シリーズと比較する事で、「マトリックス」の事件性の意味を浮き彫りにする事が可能です。最新作はともにカーチェイスがアクションの目玉なのですが、「マトリックス」ではこれがリアルではない仮想現実なのだと観客に納得させるに足る、驚愕の描写が展開しています。
ストーリーは同じ人類と機械の対立という構図のバリエーションで、「ターミネーター」では救世主の用心棒がヒーローなのに対して、「マトリックス」では救世主=ヒーローです。後者では、用心棒の存在自体が無用となっています。それぞれの救世主には恋人がいて、これがまた人類解放に大きく関わってきます。「マトリックス」では当初、平凡な会社員にして有能なハッカーがネット上でモーフィアスというテロリストの存在を知る事で、それまで自分が現実だと思い込んでいた世界が実は機械が作った仮想現実で、人類は最終的に機械の家畜となって、その養分をシステム維持のため利用されるだけの肥やしに過ぎない、という「真実」に目覚め、人類解放軍のメンバーとなった時より、何度も究極の選択を迫られます。予言者によって救世主とされ、モーフィアスもその言葉を固く信じて、現実における人類最後の楽園ザイオンを機械の攻撃から守るべく奮闘する救世主なのですが、この世のシステム設計者に対面し、超難関の選択を与えられ、ついには「ザイオンを救う=ソースに達してコードをまき散らす=人類滅亡を回避」よりも「トリニティー(恋人)の元へ行く=人類滅亡」を取り、それまでの歴代5人の救世主とは異なる選択をする事になります。そして、物語は謎をはらんで第3部を見なければ、何も分からないまま観客を放置しているんですが、認識によって仮想現実のスーパーマンとなった救世主が、なんと第2部のラストでは現実においても超人的能力を発揮してしまうのです。それまで現実と仮想現実の二元論で言及されてきた世界観が、実は現実さえもまたプログラムされた夢だったという落ちがつくのか、あるいは歴代救世主とは異なる選択をした6代目が、現実においても人間以上の存在に変質してしまったのか?「ターミネーター」については次回、語る事にしましょう。
 いずれにしても、それは「最後の人間」および「世界の終り」の物語を様々な表現者が、それぞれの切り口で語りなおしているのでしょうね。宇多田の夫が初監督作品に選んだという「新造人間キャシャーン」も、そのバリエーションの一つにしか過ぎないのです。


マトリックスVSターミネーターその2  投稿者:豪傑No.1 投稿日:2003/09/09(Tue) 01:21   
 こんばんは、みなさん、私が豪傑です。 
 (^^)さん、はじめまして。これからよろしくお願いします。「武士道残酷物語」はまだ見ていないのですが、森雅之がゲイの役で登場するらしいですね。黛敏郎の音楽に中村錦之助の一人七役、「用心棒」のような侍に肯定的な物凄いスーパーマンが作られる一方で、封建的制度を批判するような「切腹」や「大奥丸秘物語」のような系列の作品群も作られたのですね。たけしの「座頭市」がベネチア国際映画祭で監督賞(銀獅子)を受賞しました。オフィス北野の社長の名前も漢字が違いますが、森昌之というようで、たけしも森雅之と相対するキャラクターとしてヤクザやサムライをやってるんでしょうね。残酷描写はイタリアの好むところですしね。用心棒がロボットで未来からやってきて、今はまだ平凡な救い主を守る、、、ターミネーター ですね。その新作では結局、人類は破局を回避し得ず、核戦争へと突き進んでしまう終末論的世界観が描かれていますが、ここでのターミネーターの役割は歴史を変えるなんて大それたものではなく、ただ救い主の生存を確保するだけなんです。

平成邦画事情 投稿者:豪傑No.1  投稿日:2003/09/22(Mon) 01:45
 みなさん、こんばんは、私が豪傑です。
 私がここしばらくの間に見た映画は「シカゴ」「ドリームキャッチャー」(S、キング原作の下品で奇妙な味わい)「パイレーツオブカリビアン」(ディズニーランドのアトラクション、カリブの海賊が映画になったもの)「狼よ、さらば」(先頃急逝されたC、ブロンソン主演)「キスオブドラゴン」(ジェット、リーのカンフーアクションが炸裂)「クリムゾンリバー」(J、レノ主演のサスペンス)「アニマトリックス」(マトリックス3部作の番外編オムニバス)「甲殻機動隊」(ジャパ二メーションの快作。最初、設定から細部に至るまでマトリックスの剽窃だと思ったが、製作年代を確認すると'95年で、マトリックスの方がこちらの引用が意図的になされたものだった。企業のネットが世界を覆い尽くしはしたが未だ国家や民族が現存する近未来という事らしい。)と、だいたい、こんな感じになります。
 (*^^)vさん、お返事が遅れまして、大変申し訳ありません。この掲示板はレトロな澱んだ空気が紛れ込んで、ゆるやかに時が流れているようで、、、、、それでも何か呟いていただければ必ず反響のある場所になっていますので、どうぞご容赦下さい。「ツィゴイネルワイゼン」は内田百閧フ「サラサーテの盤」を下敷きにした秀作で、同年のカンヌグランプリ作品「影武者」を抑えて、キネマ旬報ベストワンを獲得しているんですね。それで黒澤の遺作となった「まあだだよ」も内田百閧ェ原作で不思議な因果関係が垣間見られます。浅野忠信はすでに大島渚の「御法度」でたけしと共演しており、「座頭市」への伏線は張られていたみたいです。さらに、勝新が幕末の岡田伊蔵を演じた「人斬り」を想起させる「IZO」が来年公開予定になっています。なんでも三池崇史監督作品で人斬り伊蔵が現代に蘇り、たけし演じる支配階層の一人謎の宰相と対立するという奇想天外なストーリーのようです。緒形拳やB、サップが共演しています。それから、たけしはもう一つ、フジテレビ系列で来年、田中角栄のドラマ化で主役をやるようです。映画とドラマで謎の宰相と角栄。何かしら秘められた作為が感じられます。
 (-。-)y-゜゜゜さん、(#^.^#)さん、はじめまして。また何か面白い情報がありましたら、お知らせ下さい。


老いたるものの甘美なる記憶 投稿者:豪傑No.1 投稿日:2003/10/13(Mon) 22:44
こんばんは、みなさん、私が豪傑です。
 (^^)さん、私はエリア・カザンという監督に何らの思い入れもないのですが、それでも「エデンの東」だけだ見ていて、それというのもジェームス・ディーンを見たかったからです。なるほど彼は伝説化されているように全身が「青春」という意味に満ち溢れていて、もはや類型的人物にまで昇格しています。その老いを想像できないというのは、彼が偶像化されている事の何よりの証左でありましょうし、私にはカザンはそのアメリカ黄金の50年代の記録者としての存在以上のものではありません。ですから、カザンが何歳で亡くなったとして、記録者それ自体の年齢が問題になることは、あり得ないのです。
天使的存在として歴史上に登場したのにもかかわらず、最後には記録者として退場したような人物として、ジャン・コクトーがあるように感じているのは私だけではないように思います。「ある詩人の血」(1932年)という前衛映画によって、映画史にもその名を刻んだコクトーは、三島によると二つの系列の作品を形作っているらしく、一つは「ある詩人の血」「美女と野獣」「オルフェ」といったイメージの錯乱状態に専念して映画を玩具にしたようなものと、もう一つは「永劫回帰」(悲恋)「双頭の鷲」「恐るべき親たち」といった、古典的な戯曲作法を映画に強引に課してジャンルの無茶な結合を成就させようとした野心的系列とで、映画文法に配慮しない映画の戯曲化ともいうべき後者を映画評論家は評価しないだろうけれども、こちらの方が好きと三島は語っています。「オルフェの遺言」は、フィルムによる自伝という形式の嚆矢となるものであり、最晩年のプライベートフィルムというもの、という事で、この作品には老いさらばえたコクトーその人の姿が映し出されているらしいのですね。私は「美女と野獣」しか例によって見ておらず、私の眼前には死ぬまでに見るべき映画が山積しているという他ありません。

●豪傑No.1(265)  題名:不死伝説と偽者大行列 投稿日 : 2003年10月26日(日)01時31分
 こんばんは、みなさん、私が豪傑です。米誌フォーブスが今月24日に発表した故人となった有名人の収入ランキングによると、エルビス・プレスリーが3年連続で一位なんだそうです。昨年9月から今年9月までの収入は、なんと約44億円というから驚きですね。2位はスヌーピーの漫画家チャールズ.シュルツ、3位はイギリスのファンタジー作家J.R.R.トールキン、4位がジョン.レノン、5位がジョージ.ハリスンと続いて、10位はマリリン.モンロー、11位はフランク.シナトラという事です。米国の9.11同時多発テロ以降、愛国心の昂揚があって、それでプレスリーというのがあるのかもしれません。日本でも小泉首相は就任以来、プレスリーファンを公言し、新たに発売されるアルバムの選曲までしていたように記憶します。かつては三島も、誰か他人になれるとしたら、プレスリーになりたいと、インタビューに答えていました。その小泉も、最近では長老の中曽根、宮沢の両元首相に比例選での引退勧告を迫り、大勲位中曽根などは政治的テロだと激怒していますね。
 プレスリーは42歳で死去したのですが、その後も米国では不死伝説の主人公となり、いたるところでその生存が確認され、命日には聖地となった邸宅にコスプレした偽者のプレスリーが大行列を作るという有様で、死んでからも話題に事欠かないという人物はいるものです。それにしても、「イマジン」はヨーコとの合作だったようですね。ジョンの記念館が何故か埼玉にあるというのも面白いですね。   



●豪傑No.1(266) 題名:山口百恵は果たして菩薩だったのか 投稿日 : 2003年11月8日(土)13時08分
 こんにちは、みなさん、私が豪傑です。
 先頃、日本のジャズプレーヤーの草分けであったジョージ川口がなくなりましたが、占領時代は進駐軍のキャンプを拠点とした国内では戦前に続く2度目のジャズブームがあり、ジョージ川口はその中心的存在でした。その周辺にいた渡辺晋は占領の終りとテレビ本放送の開始を見越して、ジャズブームの終焉をすばやく読み取り、後に戦後最大となった渡辺プロダクションを興して、ロカビリーブームへとシフトさせたのは有名な話です。ともかくスターというのは活動の拠点を映画において、テレビを電気紙芝居と罵倒するような存在の事をいうのですが、60年代には斜陽化を余儀なくされたのは、色男の「芸能界スターシステムの秘密」をお読みになった方でしたら、周知の事実でしょう。それでも、最後のスターといい得るような存在がほとんどギリギリセーフで登場し、足早に去っていったのが70年代です。
 言うまでもなく、その一人は長嶋茂雄で、彼の存在によってプロ野球は国民的スポーツとしての地位を確立させたとしても過言ではないほどの特筆すべき存在でしたが、第二次巨人監督時代の終わりになって、ついに自らの永久欠番背番号3の封印を解いてしまったのです。引退の美学による引き際の伝説は、ここで少し色褪せてしまいました。次にアテネ五輪のアジア地区予選に、日本代表は初めて全員プロの寄せ集めドリームチームを結成させ、日の丸を強調したナショナリズム溢れるユニフォームを着せて、あろう事か、またしても眼鏡をかけた長嶋を監督として登場させたのです。結果は韓国、台湾、中国を難なく下し、大東亜共栄圏さながらにアジア地区の盟主として、本選への挑戦権を奪取したのでした。一方、マイナーリーグだけで結成されたアメリカ代表はメキシコに敗れ、早々と予選落ちになっています。
 スポーツ界の華やぎと比較して、音楽業界は冬の時代に突入し、売上も全体的に底冷えして、まさに過去の遺産で食い繋いでいるような惨憺たる状況になっています。そこで、たった一人のスターを、影武者たちが分業して大空位時代を支えているかの印象を与える現象として、山口百恵カバー曲乱発というのが目立ちます。
新鋭ユニットmaybeの「プレイバックpart2」、宮地真緒の「秋桜」、倉木麻衣の「イミテーションゴールド」、鬼束ちひろの「いい日旅立ち」、藤あや子の「曼珠沙華」と出て、山口本人のCDもいまだに売れ続けているようです。引き際で晩節を汚した中曽根大勲位は、情があれば円満な辞任もあり得たのに、小泉は礼節を欠いているとし、パフォーマンス政治は独裁といってよいものだと、三島事件以来の故人批判に終始しているのが、印象的でした。   

■国民食ラーメン狂想曲  豪傑No.1(30) 投稿日:2003年12月21日(日)19時05分
 こんばんは、みなさん、私が豪傑です。
 14日の赤穂義士の討ち入りも過ぎて、年の瀬も迫り、もういくつ寝るとお正月という
気分になってまいりました。それにしても、ここ数年のご当地ラーメンブーム熱冷めやらぬ、といった観がありますが、20日によみうりテレビで放送された関西の人気ラーメン店ベスト20というローカル番組(?)によると、次のようなランキングになるようです。いずれ劣らぬ名店ぞろいで全部制覇したい欲求にさえ、かられてしまいますね。
1位 ますたに 京都市左京区北白川久保田町26
2位 神座 大阪市中央区道頓堀1-6-32
3位 新福菜館 京都市下京区東塩小路向畑町569
4位 本家・第一旭 京都市下京区東塩小路向畑町845
5位 彩華ラーメン 天理市別所町223 オークワ駐車場内
6位 井出商店 和歌山市田中町4-84
7位 ラーメン銀閣 京都市伏見区下鳥羽城ノ越町90
8位 ほそかわ 京都市右京区西京極南庄境町9
9位 揚子江 大阪市北区角田町7-17
10位 来来亭 滋賀県野洲町妙光寺西ノ久保290
11位 古潭老麺 大阪市北区芝田1−7−2 かっぱ横丁内
12位 珍遊 京都市左京区一乗寺払殿町14
13位 麺や輝 大阪市東淀川区菅原4−1−32
14位 いいちょ 京都市左京区下鴨東半木町70−10
15位 本黒門らーめん 大阪市中央区日本橋1-21-28
15位 信濃路 大阪市西区靭本町3−7−1
17位 天下一品 京都市左京区一乗寺築田町94
18位 大勝軒 大阪市北区神山町2−10
19位 山神山人 神戸市灘区友田町4−1−1
20位 みよし 京都市中京区木屋町三条下ル石屋町115辻田ビル
21位 ラーメンたろう 神戸市東灘区本山中町4-3-7
22位 二両半 大阪市東成区東小橋3-9-21
23位 もっこす 神戸市中央区楠町7-1-3
24位 まんねん 大阪市北区堂山町5-9 扇会館1F
25位 豊中麺哲 豊中市岡上の町2-2-6
25位 杉千代 京都市右京区太秦安井西沢町2-7
27位 一番星 京都市左京区岡崎北御所町28-4
28位 ラーメン横綱 京都市南区吉祥院這登西町30-8
29位 天神旗 大阪市東淀川区上新庄3-19-87
30位 洛二神 大阪市北区浪花町4-22 藤ビル1F西
 94年に新横浜ラーメン博物館がオープンすると、2匹目のドジョウ狙いで、関西だけでも泉ケ丘ラーメン劇場、道頓堀ラーメン大食堂、京都拉麺小路、明石ラーメン波止場と、矢継ぎ早のオープンで、留まるところを知りません。新横浜では昭和33年の下町を再現して、もはや歴史と化した昭和30年代のテーマパークともなっているところにも、人気の秘密がありそうです。ところが今年になって讃岐うどんの猛追があり、大晦日の紅白裏番組の指定席にラーメン特集が定着していた日テレでも、他局にならってプロレスの猪木ボンバイエになり、弱冠の変化も見うけられるようです。

●豪傑No.1(269) 題名:紅白vs格闘技  投稿日 : 2004年1月11日(日)00時04分
 こんばんは、私が豪傑です。
 昨年の音楽業界を一応総括しておこうと思うのですが、まずは紅白の話題。テレビ50年とか地上波デジタル放送開始とか何かと節目の年だったのですが、紅白は昭和26年の開始から実に54回目という超長寿番組として、やることはやったのでした。ところが数年前より、紅白裏の民放は格闘技というのが定番となっており、映画でも「マトリックス」シリーズをはじめ「英雄ヒーロー」「座頭市」「キルビル」「ラストサムライ」などがヒットして、なんだか熱いバトル系が沸騰している訳です。2002年の日韓共催で盛り上がったW杯から注目を集めているべッカムは、いまだに日本ではスターですし、プロ野球でも燃える男星野仙一が阪神ブームを演出し、今度は死んだはずだよ、お富さんならぬ、辞めたはずだよ、燃える男長嶋監督がまたもや背番号3でアテネ五輪日本代表の監督となり、なにやら中日新監督の落合から猛反発を受けている様子。とにかく列島は熱く、今年もまた矢沢、サザン、ユーミン、宇多田などの大物獲得に失敗した紅白は、宇多田のダミーか(?)倉木麻衣と、清原との男の友情も厚いJpop界最強の格闘家長淵剛が、裏のサップvs曙戦に真っ向勝負を挑んだのですが、無残にも後半視聴率関東45、9%、関西45、7%と二部構成になった89年以降最低の数字となってしまいました。今年は何故かしら、また演歌勢の出場が増えたようでしたし、旧作や他人の唄を歌う人が多く、まるで懐メロ番組のようでもありました。その国民的番組とも呼ばれた黄金時代は60年代から80年代にかけてで、80年代も半ば以降から低迷がはじまったようです。

●豪傑No.1(270) 題名:国民的大スター=No.1はどこにいるのか 投稿日 : 2004年1月11日(日)00時52分
 さて、この頃少し書き込みをさぼっていたので、いつもより多い目に書く事にしましょう。5年連続マイナス成長、冷え込み続く市場は底無し沼、という業界の2003年シングル売上枚数ベスト5を見ておくと、一位は唯一の200万枚突破、no、1にはならなくてもいい、とまるで私の存在を完全否定するかのようなSMAPの「世界に一つだけの花」で、二位「虹」福山雅治、三位「COLORS」の全米デビューが楽しみな宇多田ヒカル、四位「さくら(独唱)」森山直太朗、五位「月のしずく」RUIこと柴崎コウ、となっています。二位以下は、ミリオンにも達していません。アルバムに関して言えば、ケミストリーと浜崎以外は韓国映画ドラマブームが援護射撃になっているのかBOA、ロシアのトラブルメーカー、タトゥー、それから中国のインストゥルメンタル、女子十二学坊と洋楽ばかりが目立っています。そうとうに厳しい冬の時代と言えますが、昨年の12月に読売新聞が音楽について行った世論調査で、日本人の音楽ニーズを探って見る事にしましょう。
 まずは好きなジャンルでは54%で歌謡曲Jpopがトップで、その後を演歌の38%、ロック.ポップスの21%、クラシックの19%、日本の民謡や伝統音楽の15%、童謡.唱歌の13%と続いています。演歌を選んだ人は60歳以上が65%を占めているようですね。現在のJpopについて言うならば、カラオケで歌い難い曲が多く、流行のサイクルが早く、世代を超えて楽しめる曲が少なく、唄の題名や歌詞に英語の曲が多い、など、かなりの不満もあるようです。「国民的」は完全に死滅しています。もちろん、国民的大スターも不在ですよ。10代から70代以上までで、好きな歌手のアンケートをとると、以下のようになるそうです。
1、美空ひばり、2、北島三郎、3、五木ひろし、4、ビートルズ、5、サザン、6、SMAP、氷川きよし、8、坂本冬美、9、ミスチル、10、浜崎あゆみ、11、天童よしみ、12、B、z、13、宇多田ヒカル、14、松任谷由実、15、ドリカム、16、藤あや子、八代亜紀、18、石川さゆり、中島みゆき、20、石原裕次郎、川中美幸、ゴスペラーズ、都はるみ、(以下少数意見)となっているんですが、いない、あるいは答えない人が全体の49、9%もいたという事です。   


■食肉文化大激震  豪傑No.1(33)  投稿日:2004年1月20日(火)01時41分
 こんばんは、みなさん、私が豪傑です。
 昨年の12月にアメリカでBSE(牛海綿状脳症=狂牛病)感染牛が発見され、米国産輸入肉の輸入が停止されたままになっているのは周知の事と思いますが、これはたちまち食肉業界から外食産業まで、日本の食文化にも多大の影響を与えているようで、オーストラリア産牛肉の対日輸出価格が75%も値上がりしたり、吉野家が在庫切れまで売り尽くし体制に突入し、売上が異様に伸びたり、マクドナルドでも米国産を15%含むフランクバーガーの販売を中止しているようです。しかし、一方で、大阪府立大大学院では、肉骨粉を高温高圧の水を使って分解し、環境に優しい生分解性プラスチックや電子材料の原料などに再資源化する技術を既に開発しており、また、それは直接の病原体となる異常プリオンも無害化できるもので、2005年の実用化を目指している、という事です。
環境破壊による食肉パニックと考えられるものは、BSEだけではなく、鳥インフルエンザも、随分、巷を賑わせているようですね。山口県の養鶏場で発見されたとの事ですが、日本では79年ぶりに確認されたようで、これは人に感染する可能性があり、オランダなどでは死者が出たとも報告されています。そもそもインフルエンザウィルスはH1からH15までの種類があり、そのうち人間に感染するものはH1=Aソ連型や、H3=A香港型の2種類くらいで、今回発見されたのはH5で、これは鳥から人に感染するものですが、火を通す事で消滅してしまうウィルスのようで、香港でもベトナムでも感染した人は生きている鳥に接触した場合のみとの、報告がなされているようです。牛と鳥は様々な風説被害で、その消費を激減指せる事になるかもしれませんし、推理小説風に見て、それで利益の得られるのは、豚肉業者という事になり、、、、と、あんまり不謹慎な憶測は止めることにしましょう。

マトリックスVSラストサムライ 投稿者:豪傑No.1  投稿日:2004/02/11(Wed) 19:00
 こんばんは、みなさん、私が豪傑です。
 少し古い話になってしまうのですが、「マトリックス レボリューションズ」は、興行成績の上でも、パート1、2に比べて、伸び悩んだようで、ストーリーの上でも「猿の惑星」シリーズのような、結局は異なる二つの文明の共存共栄というところに落ちがつくものでした。圧倒的な唯一の超大国じみたマシンシティーは人類を支配しているのですが、その支配を免れた解放区のような人類の自治地区ザイオン(まあ、言ってみれば人類にとってのラスト☆パラダイスですね)の人類解放軍の革命が勃発し、その中の救世主が「天人五衰」の透のように最後には失明し贖罪羊となる事で、とりあえずの和平、ザイオンは当面の保護が得られるという事で、猿と人間の文明の衝突から、偉大な猿の指導者によって、猿と人間の平等な社会が確立されるところでエンディングを迎える「最後の猿の惑星」に、そっくり重なるもの以外のなにものでもなかった訳です。そもそも救世主が単なるプログラムの域を越えて、マシンの頭脳ともいうべき、デウス、エクス、マキナ(機械仕掛けの神)と取引し得るような存在となれたのも、その仇敵スミスが、ネオ同様、単なるプログラムを超えて自我に目覚め、マシンと人類双方の存続を脅かす存在となったことで、ネオはその暴走を抑止すべく、拮抗するパワーを認められたのだとして差し支えないのですね。
 それから遅れて話題作となったのが、渡辺謙のアカデミー賞の呼び声も高い「ラストサムライ」で、こちらは「天人五衰」ならぬ「奔馬」で、西南の役のような全的滅亡の美学ですね。江藤淳の「南州残影で語られるような日本の思想の到達点が、他ならぬ唯一の超大国で映画化されているという事です。

マトリックスVSラストサムライ その2  投稿者:豪傑No.1 投稿日:2004/03/06(Sat) 22:46
 こんばんは、みなさん、私が豪傑です。
 高度成長期の太陽ともサムライとも呼ばれた長嶋が、つい先日脳梗塞で緊急入院し、意識ははっきりしているが、右半身に麻痺があると報じられました。奇しくもアカデミー賞で、「ラストサムライ」の渡辺謙が助演男優賞、「たそがれ清兵衛」が外国語映画賞にノミネートされましたが、おしくも受賞はなりませんでした。長編アニメーション賞に「ファインディング.ニモ」、そして「ベン.ハー」「タイタニック」以来の11冠に「ロード・オブ.ザ.リング 王の帰還」が輝いた事が特筆されるでしょう。明治政府に賊軍となって士族の反乱を起こした渡辺謙はハリウッド次回作として「バットマン」の悪役が決まっているようで、このアメコミシリーズ前作の悪役はシュワルツネッガーでした。武士道の復権とか言われる昨今ですが、それが欧米のサブカルチャーの中にリスペクトされ、現実の日本社会では絶滅しているところに、この国の衰退の理由があるとも考えられるのかもしれません。 「マトリックス レボリューション」でも、ザイオン死守に立ち上がるミフネ船長は、北島三郎をより濃厚にデフォルメしたような役者が熱演して、最後には機械軍の攻撃に憤死するのですが、アメリカ人であるトム.クルーズの視点で物語られた「ラストサムライ」は絶滅種の精神性に共感する形で、アメリカの合理主義、白人中心主義を批判した作品として見る事も出来るもので、時ならぬ大統領選挙を控えるアメリカ社会において、日本なるものが反戦思想のバックボーンとして呼び求められているのではないか、という気がしないでもありません。ただし武士道の絶滅した現代日本をアメリカの傀儡と見るに考えられる、伝統文化の根を持つ日本として、という前提があっての話ではありますが。かつて三島は武士道と軍国主義は似て非なるものであり、軍国主義は明治政府の近代化政策によって齎されたものだ、と論じて、佐藤内閣に意見しようとした事がありますが、それはうまくいかなかったようです。以前に、私がこの掲示板で紹介した、たけし主演で角栄のドラマ化がある、という話ですが、これも中止となってしまったようです。渡辺謙は役所広司の代役として「ラストサムライ」出演が決まったというエピソードがありますが、この二人は「絆」という作品で共演しており、しかも、それが「羅生門」のような火花散る二人の男の対決のストーリーでしたから、私などは、渡辺謙を平成の三船敏郎に、役所広司を平成の森雅之に見たててしまうのであります。